ベレ出版「地図化すると世の中が見えてくる」

車やスマートホンのナビゲーションは今や私たちの生活に欠かせないツールとなった。
ひと昔前のように地図を確認してしばらく進み、また止まっては広げる、
という作業はほとんどしなくなってしまった。

しかし紙ベースの地図が必要ないかというと、そうでもない。
いや、むしろ自分の位置を俯瞰的に把握したい時には
狭い範囲でのナビゲーションより役立つことが多い。
ちょっと離れたところに川があったり、寺社があったり、
寄り道をする時も大き目の地図があると旅が楽しくなる。

情報によって地図の素材、形状、その役立ち方は様々だと思う。

さて、この「地図化すると世の中が見えてくる」は、
世界の、日本の、情報の推移・統計・事象を地図の上に載せて、
世界の流れを可視化したとても興味深い書籍である。

「原油国の変化」「世界工場の移動」「永久凍土と温暖化」など、
世の中の激しい動きが地図の上でひしめき合っているような密度の濃さを感じる。
一枚の同じ世界地図が様々な切り口によって多様な形へと変化しているように見えるのが面白い。

特筆したいのは、本書の地図では日本は一番東に位置することだ。
世界の動きの中で日本は中心ではないことを思い知らされる。

伊藤 智章 著
発売日:2016年9月刊行
定価:本体1,500円(税別)
ISBN:978-4-86064-488-8
分類コード:C0025

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